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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第16章 しのちゃんの受難(十)

 腕が、指が、絡め取られる。足元がふらつくのを、宗介が作業机のほうに誘導をして、椅子を横に追いやって――そのまま机の天板に背中を押しつけられて、押し倒される。
 背中が冷たい。さっき強く倒れ込んだから、ちょっとだけ腰が痛い。足が浮いちゃいそうで、心もとない。

「そ、すけ?」
「煽ったのは小夜だからね。覚悟を決めて」

 見知った蛍光灯の下に、宗介の顔。ペロリと舌舐りをする、私のよく知っている、私に欲情している顔。

「俺、ここで勉強するとき、いつもここから、この場所から、小夜を見てた。ずっと、こんなふうに、押し倒して、中に俺のものを突っ込んで、かき回して、果てたいって、妄想してた」

 生徒の自習用として使っていたこの古い作業机は、確かにずっとここにあるものだ。
 宗介はよくこの場所に座り、真剣に真面目に受験勉強をしていた。そんな卑猥なことを考えていたなんて、私は想像すらしていなかった。
 足の間に宗介の足が、腰が、割って入ってくる。無遠慮に開かれていく足を、閉じることができない。
 伸縮性の高いフレアスカートが、サラリと机から零れて流れる。

「妄想を、現実にしていい?」
「そ」
「あ、ごめん、間違えた」

 シュルとネクタイを緩めて、シャツのボタンを手早く外して、宗介はニッと口角を上げて笑う。

「今から妄想を現実にするから――」

 太ももに押し当てられた宗介の雄は、布越しでもわかるくらいに、硬く屹立している。

「――小夜は、受け入れて」

 机が、ぐらりと揺れた。
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