この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
君がため(教師と教育実習生)《長編》
第17章 【回想】里見くんの始まりの日

「教育実習中は、あなたたちは学生ではなく、先生です。生徒たちにとってはただの教師です。学生だからという甘えがあるなら、今ここに置いていってください」

 真面目な顔で話している学園長代理は、やはり、小夜先生を深く愛しているようだ。半年かけて、俺はそう結論づけた。
 小夜先生の昔話をしているときの彼女の顔は、本当にデレデレで、小夜先生のことが好きで好きでたまらないと体中が発していた。今の顔とは全く違うのだ。

 好きな人に好きだと言えなかった、不器用な人。日々募る想いに耐えかねて、アメリカに逃げたのだとしても、誰も責めることはできないだろう。
 少なくとも、俺にはその気持ちがわかる。相手の魅力もわかるから。

「……それでは、三週間、有意義に過ごしてください。実習生の皆さんは、会議室に戻って、トイレ休憩をするなどしてしばらく待っていてください。朝の会議が終わったら、またしっかり学校運営の心得などをお話しますので。以上です」

 五人が学園長室を出たあとに、学園長代理はただ一言、俺に有益な情報をもたらしてくれた。

「小夜ならもう来ているわ。すぐに準備室に行くはずよ」
「……ありがとうございます」

 礼をして、学園長室を退室する。
 そして、少し緊張の解けた実習生たちのあとを歩いていき、隣の会議室に入る前に職員室を覗く。

 ……いた。後ろ姿だけどすぐわかる。
 小夜先生は、歩くエロこと木下先生と話している。たぶん、すぐに国語準備室に向かうだろう。

 俺は鞄の中から、玉置珈琲館の紙袋を取り出す。持ってきていたビロードの小箱は、高村と別れたかどうかを見極めたあとで渡そう。

「あれ、宗介、トイレ?」
「ん。一応、先に行っておこうと思って」

 稲垣には紙袋が見えないように会議室から出て、三階へと向かう。
/321ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ