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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第5章 しのちゃんの受難(三)
小テスト作成が終わったので、印刷する。レーザープリンターからA5の紙が出てくるのを待つ。
「んんーっ」
椅子の上で伸びをする。ぎしりと椅子が軋む音を聞いて、そういえば里見くんから「ベッドが軋んでいるようでエロい」と言われた気がするなぁとぼんやり思う。
「……ふぅっ」
強ばっていた筋肉が弛緩する。体に酸素を行き渡らせて。肩の力を抜いて。くるりと椅子が回転して。
……え?
「隙あり」
いきなり回転した椅子のせいで、机の足に伸ばしていた左足をぶつける。ガン、と鈍い音。
「いっ!?」
顔をしかめる私の頬に、里見くんの唇。
ぬるく、柔らかい、唇の感触。
つんと、汗のにおい。
「さとっ」
「すみません、足、大丈夫ですか?」
「大丈夫、じゃ、ないっ」
「舐めて治しましょうか。スニーカー脱いでください」
「やっ、やめっ」
膝をついて、座る私の足首を持ち上げようとする里見くん。突然の出来事に慌てた私は、里見くんの手から逃れようとして思わず足を振り上げてしまう。
「あ」
私のスニーカーの先が里見くんの顎をとらえ――そのまま蹴り上げた。