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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第5章 しのちゃんの受難(三)
『会いたい、小夜。好きだ』
さらに増えていくメッセージ。私はスマートフォンの画面を下にして、パソコンのそばに置く。
メッセージが来るたびに小さく震えるスマートフォンに、尋常ではない何かを感じる。
礼二は、どうしたのだ?
一体、何があったのだ?
「気持ち悪い……」
同じように求められているはずなのに、里見くんの恋の歌と、礼二の愛の言葉は、全然違う。
里見くんの歌は重いし、必死だし、応じられるはずもないけれど、とても好ましいものだ。私を想ってくれているとよくわかる。
礼二の言葉には愛がない。情もない。ただ、縋りたいだけ。楽をしたいだけ。
里見くんと礼二とは比べられない。
私はもう元カレに対して、嫌悪感しか抱けないようになってしまった。
私たちは、もう、元には戻れないんだよ、礼二。