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禁断背徳の鎖外伝・遅咲き桜-
第4章 誘い-胡桃の思い出



そう‥昼間、函館山でぶつかりそうにそうになった女性…
ツアーかと思っていたら、こんな場所に1人。



「・・・・・」


旅という事で、何かが吹っ切れたのだろうか、それとも別の理由か、私は何故かこの女性に声を掛けて見たくなった。



「・・あの…
昼間‥会いましたよね?」


「??
・・あぁ、函館山の…
あの時はすみませんでした」


「いえ、あんな場所に居た私も悪かったのですから・・」


旅先という事もあり、迷い迷って、つい声を掛けてしまった…


私は・・・


とうとう、違う道の1歩を踏み出してしまった‥この瞬間に‥もう1つの私の意志が頭をもたげたのは確か・・・



「・・1人‥なんですか?」


「1人旅です、貴女は?」


「私も1人です…」


「意外ですね、誰か連れが居ると思っていましたが…」


「女1人でも旅はします、いけませんか??」


「とんでもない…
失礼な事を聞いたのはお詫びします、お詫びついでに何か奢りますが、如何ですか?」


「ありがとう…
お言葉に‥甘えます」


こういう時の私は、口が軽いというか、口が上手いというか…
仕事上、この口調は致し方ないらしい‥今更変える気も無い。



女性‥彼女の名はくるみ…
本名かそうでは無いか、此処で問うても仕方が無いだろう。


「私は・・伊織と言います‥くるみさん」


「伊織さんですか?
変わった名前ですね?」


「そうですか?
あまり言われた事はありませんが?」


遠藤と名乗っても良かったのだが、何となく気が引けて伊織と名乗ってしまった。


伊織と言う名は、祖母が付けてくれたもの…
昔の武士の名で、意味があると聞いた事がある‥子供の頃の話で、良く覚えてはいないが。


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