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禁断背徳の鎖外伝・遅咲き桜-
第5章 誘惑-ピアノ演奏



「・・曲が・・・」


今度は少しテンポが早め、だけどミスマッチとも思えない不思議な感覚。


改めて演奏者を見る…
金に近い茶系の長い髪に‥‥緑の瞳??


外国人かと思ったが、顔立ちの特徴が少し日本人寄り‥ハーフかクォーターか、白人系が混ざっている印象を受ける。


そして、光の加減で緑色に輝く瞳…
この桜とピアノという和洋折衷にとてもマッチしている。



(聞いていて飽きない…)


演奏の腕なのか、演奏者の魅力なのか、遅咲きの色濃い桜を見詰めながら、幾らでもピアノを聞いていられる気がする‥気分が良い、こんなに長くピアノの生演奏を聞くのも本当に久しぶり。


40分程だったが、結局最後まで演奏を聞き入ってしまった…
北海道に来てから、こんな穏やかな時間が多い、普段多忙なだけに気が抜けたのだろうか?


もう少し桜が見たいと思い、席を立って歩こうとした瞬間、不意に声を掛けられた。



「???」


「最後まで聞いてくれて、ありがとうございます」


声を掛けて来たのは、ピアノを弾いていた女性。



「いえ…
良い選曲でした、すっかり聞き入ってしまいまして……」


「??
ピアノを…?」


「少しは…
私は貴女程上手くはありませんよ」


お世辞では無く、私はこうコンサートを出来る程ピアノは上手く無い、せいぜいホームパーティーで伴奏程度に弾く程度の腕。



「リュカです‥リュカ・泉」


「それは失礼…
リュカさん?
フランスでは男名だと記憶にありますが??」


「変ですか男名で?
今はどちらもという名も多くなっていますよ??」


法則的に男名だが、彼女が言う通り、どちらにでも付ける事も多くはなっている。


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