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禁断背徳の鎖外伝・遅咲き桜-
第5章 誘惑-ピアノ演奏
1時間程、軽く思いに拭けながら公園内を散策…
何故か今日は美紀様の事では無く、先ほどのピアノと私の昔の事ばかり。
久しぶりに聞いたせいか??
まだ、日本と海外を行ったり来たりの生活をしていた頃の懐かしい記憶、祖母に預けられる事も多かったが、別段両親と不仲という訳では無い。
向こうが海外で、日本に帰って来る事が少ないだけの話で、年に数回程度は連絡もある。
高校入学辺りから、学業優先と一緒に海外に行かなくなり、そのまま短大に進み早乙女邸と、私の方が海外と縁の無い生活になった。
それでも米国・ロシア・ドイツ・フランス・イタリアと外交官の息子として一緒に暮らした時期もある。
私の語学はその頃、必然的に身に付いたもの…
学校その他は現地の子供と一緒だった為、言葉が分からないのは何となく悔しい、そんな思いから語学だけは必死だったとは思う。
そのお陰で、今は海外に出てもあまり不自由はしない…
流石にアジアや中東辺りは、全く理解が出来ない訳では無いが片言程度の知識、これはまあ‥英語で何とかカバーは出来るのだが……
「・・やれやれ、本当に昔話ですね」
最近は忘れていたのに、あのピアノのせいか、随分と古い事を思い出してしまったようだ‥私らしくもない。
ふとポケットに手を入れたら、先ほどの名刺…
どうしょうか迷う、気にはなるのだが、行って何があるというのやら。
「・・いや‥‥‥」
こうなれば、少々試して見たい事もある…
私にそれが出来るかどうか、試して見るのも悪くない。
「場所は‥調べれば分かるでしょう」
となれば、少し早めに函館市内に戻った方が良い…
少しだけ心残りな桜を、最後にもう一度見回して、私はある決意の元、函館へと戻る事にした。
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