この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断背徳の鎖外伝・遅咲き桜-
第5章 誘惑-ピアノ演奏
夕方は、函館最後の夜という事で、同じベイエリアの観光クルーザーが見えるレストランで食事…
多少変わった物もあり、これはこれで良かった‥ただし観光客も沢山だったが……
その場所からタクシーに乗り、目的のリュカという店に向かう。
ベイエリアから、それほど離れている訳でも無く、まだ観光地内と言ったところ、古い建物が並ぶ元町エリアの一画にその店があった。
「・・・・・」
中に入って見るとレトロな雰囲気…
昔の建物を改装したのか、吹き抜けの天井に、木造建築、だがバーという事もありカウンターと奥の小舞台は今時風。
やはり此処でも和洋折衷、独特な昔の建築の函館らしさが生かされている。
1人なので席はカウンターを選択、とりあえずビールを注文し様子を見る、彼女がどのような演奏をするのかを……
(・・やはり耳に聞こえが良い・・・)
クラシックともジャズとも取れない静かな演奏、場の雰囲気を壊す事無く‥‥彼女の得意ジャンルがこうなのだろうか?
のんびりと酒を飲みながら聞いていると、数曲弾いて一旦休みを入れてまた弾く、それを繰り返しているよう…
強調し過ぎない良いペースだと思う。
「・・・
来てくれたのね・・」
演奏の間に、彼女が私のところにやって来た…
‥‥私は考えていた事を実行に移す。
「ええ…
貴女の演奏を忘れられ無くて‥と言ったところでしょうか‥リュカ?」
「それは嬉しいわ…
まだ名前を聞いていなかったわね?」
「・・伊織……」
「伊織・・
素敵な名前ね…
ピアノが弾けるのでしょう?
1曲いかが??」
「・・いえ、止めておきましょう…
私は、このような場に合うような曲はあまり知らないので……」
「残念ね…
伊織が弾いているのを見たかったわ」
・