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禁断背徳の鎖外伝・遅咲き桜-
第5章 誘惑-ピアノ演奏



夕方は、函館最後の夜という事で、同じベイエリアの観光クルーザーが見えるレストランで食事…
多少変わった物もあり、これはこれで良かった‥ただし観光客も沢山だったが……


その場所からタクシーに乗り、目的のリュカという店に向かう。


ベイエリアから、それほど離れている訳でも無く、まだ観光地内と言ったところ、古い建物が並ぶ元町エリアの一画にその店があった。



「・・・・・」


中に入って見るとレトロな雰囲気…
昔の建物を改装したのか、吹き抜けの天井に、木造建築、だがバーという事もありカウンターと奥の小舞台は今時風。


やはり此処でも和洋折衷、独特な昔の建築の函館らしさが生かされている。


1人なので席はカウンターを選択、とりあえずビールを注文し様子を見る、彼女がどのような演奏をするのかを……



(・・やはり耳に聞こえが良い・・・)


クラシックともジャズとも取れない静かな演奏、場の雰囲気を壊す事無く‥‥彼女の得意ジャンルがこうなのだろうか?


のんびりと酒を飲みながら聞いていると、数曲弾いて一旦休みを入れてまた弾く、それを繰り返しているよう…
強調し過ぎない良いペースだと思う。



「・・・
来てくれたのね・・」


演奏の間に、彼女が私のところにやって来た…
‥‥私は考えていた事を実行に移す。



「ええ…
貴女の演奏を忘れられ無くて‥と言ったところでしょうか‥リュカ?」


「それは嬉しいわ…
まだ名前を聞いていなかったわね?」


「・・伊織……」


「伊織・・
素敵な名前ね…
ピアノが弾けるのでしょう?
1曲いかが??」


「・・いえ、止めておきましょう…
私は、このような場に合うような曲はあまり知らないので……」


「残念ね…
伊織が弾いているのを見たかったわ」


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