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禁断背徳の鎖外伝・遅咲き桜-
第5章 誘惑-ピアノ演奏
敢えて最後に名前を呼び、相手に印象を与える…
これも秘書仕事‥いや交渉術の1つで、会長が良く使う手。
随時会長に付いて仕事をしている内に、自然と私自身も身に付いていた。
「私はただ、自分の体験を言っているだけです、後にどう思うかはリュカ次第…
全てを悲観的に考えるより、少しでも妥協点を‥その方が良いと思いませんか?」
「その通りね…
妥協点はある‥私が気付かないフリをしているだけ、私が私を守る為に……」
「どう変わるか、変われるかは貴女の心1つ…
私はアドバイスしかできませんから・・」
「ええ‥それは分かる…
私はもう少し伊織と話がしたい‥‥最後まで居てくれるかしら??」
「・・リュカがそう望むのなら・・・」
絶対よ、そう言い彼女はまたピアノへ…
今のやり取りで完全に掴んだ、後は私のペースになりそうだ。
先ずは成功…
問題はその後だが、このままだと上手くいく‥とは思う。
私の中のもう1人の私…
秘書遠藤伊織を保ちながらも、1人の男として女性を誘おうとする黒い私・・
試した事が無いからどうなるか分からない、そして休暇が終われば試す機会など殆ど無い‥だからこそこのチャンスに試してみようと思った。
男としての私が、何処まで出来るのかを・・・
「・・宜しいのですか、従業員も皆帰したというのに??」
「大丈夫よ…
この店のオーナーは私だもの、みんなこのくらいじゃ気にしないわ」
店の営業が終わり、従業員も全員帰り、中には私と彼女の2人っきり…
多少落とした照明の中で、カウンター越しの語らい。
「もう1杯いかが?」
「・・そうですね…
もう1杯だけ……」
ずっとセーブして飲んでいるから、ほろ酔い程度で意識は保っている…
もう1杯飲んだところで、そこまで変わるとは思わない‥だから彼女の言うがままにしておく。
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