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禁断背徳の鎖外伝・遅咲き桜-
第5章 誘惑-ピアノ演奏



ビールを少しだけ飲み出したところで、彼女が私に向かって話出した。



「伊織が弾いているのを見たいわ」


「どんな曲でも?」


「店が終わっているんですもの、どんな曲でも構わないのよ?」


「・・・・・」


彼女の言葉に、私は無言で席を立ち上がりピアノへと近付く…
久しぶりのピアノ、上手く弾けるのだろうか?


椅子に座り鍵盤に手を掛ける、さて何を弾いたら良いのか……



「・・・・・」


私が選んだのは‥‥ベートーベンの悲愴第2学章…
有名な曲だが、穏やかで静かなのが店にマッチしていると思う。



「本当に正統派…
でも、伊織に合っていると思う」


「そうですかね?
ピアノは久しぶりなもので……」


流れる静かなメロディーに、彼女もカウンターから出て、私の隣に立っている…
私は一応構わずに、曲を弾いているが……



「もっと激しい曲を選ぶかと思った…」


「この場に相応しく無い、そう思ったまでです、お気に召しませんでしたか?」


「いいえ…
凄く合っているわ」


「・・静かな方が好みですよ私は‥‥」


ピタッとピアノを弾くのを止めて、彼女に席を譲る・・



「続き‥‥弾けるでしょうリュカ?」


「・・勿論‥‥」


彼女が続きを弾き出す・・・


その左手だけを取り、私が変わりに弾く・・


少しだけの共同作業・・・



「・・そう‥そのまま・・・」


彼女の耳元で囁きながらも、ピアノを弾く手は止めない・・



「・・伊織・・・」


「合奏‥上手いですねリュカ・・」


彼女の腰辺りに触れながら、囁くのを忘れない、私は‥どこまでやれるのか??


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