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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!
 
 また戻って来れた、見慣れた朱羽のマンション――。

 ひとりで出て行く時は、マンションのコンシェルジュが心配そうな顔をしていたけれど、2人揃って戻ると、とびきりの笑顔で挨拶してくれた。
 もう彼も、身内みたいなものだ。

 懐かしき我が家で涙ぐむあたしを抱きしめ、朱羽は濃厚なキスをしてくる。

 鼻に漂うのは、イランイランの香り。
 欲情すると濃い匂いへと変わる、淫靡な媚香。
 
 頭が甘く蕩けて、それまでの苦しみを潤していく。
 朱羽でなければ癒やされない傷は、一層強い愛へと変わりゆく。

 家でする久しぶりのキスが止まらない。
 視線を絡ませながら、舌を吸い絡ませ、甘い声を漏らして互いの体を擦りつけ合う。

 やがてあたしの息が切れかかると、朱羽はあたしの頭を優しく撫でながら胸に顔をつけさせて言う。

「俺、あなたに盛ってばかりだけど、嫌いにならないで?」
「ならないよ」
「嫌だったら言ってね」
「嫌じゃない。むしろどんと来い、よ」

 すると朱羽はぷっと吹き出した。

「そっか。俺の可愛い恋人は、どんと来てもいいのか」
「うん」
「じゃあ、どんといっちゃってもいい?」
「うん」
「手加減しないよ?」

 妖艶な光が、朱羽の瞳に過ぎる。

 手加減なしでいい。
 あたしは朱羽に抱かれたい。

 ずっと、抱かれたくてたまらなかったの――。

「手加減なしで、よろしくお願いします!」

 思った以上に元気よく答えてしまうと、朱羽は笑った。

「姫の仰せのままに」

 そして彼はあたしの膝裏を掬い、お姫様抱っこで寝室に向かった。
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