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Oshizuki Building Side Story
第2章 Shooting the moon
 







 
「真下。お前、鹿沼と喧嘩したか?」

「目敏いですわね、社長。さすが陽菜ばっかり観察している甲斐があること」

「……お前」

 結城が回りを気にして、私の耳に囁いた。


「女の子の日?」


 艶やかなテノールの声に、ぞくりとしてしまった私は、思わず結城の頬を平手打ち。


「馬鹿にしないで!! 遊ぶなら、他に行きなさいよ」

「ちょっ、真下……」


 なんだか悔しくてたまらなかった。

 その理由がわからなくて、もやもやして……。


 相変わらず、雅さんの病室にいても、私はその他大勢のひとりで、満たされることはなかった。

 今までは傍にいるだけでいいなどと考えたこともあったけれど、私の気持ちを理解しようとしてくれない雅さんが恨めしくて。

 私があれだけ迫ったのに、雅さんの身体は反応しなかった。

 私は女としては不出来で、好きな人にも女として認められない。


 私はなに?
 私の存在理由は。 


 シークレットムーンでずっと働いていたいのに、明日30日で仕事納め。

 つまり明日から、働く理由はなくなる。

 それでも会社に出よう。
 そして会社で、大晦日の誕生日を過ごして、新年を迎えよう。
 
 陽菜も結城も、きっと可愛くないこんな私を、祝ってあげようなど思わないから。
 ひとりでいるという事実を、仕事で誤魔化そう。
 

 ……目頭が熱くなったのを、雅さんに見られていたのも知らずに。



 30日――。

 陽菜とも結城ともあまり話をしないまま、終業。


 結城が、社長としてみんなの前でなにを言っていたのかもよくわからない。

 早く皆帰ってほしい。
 私は、ひとりで居たい。


「真下、飲みに行くぞ」

「はあ!?」

「お疲れ様会兼忘年会だ」


 結城はまた空笑いをして見せた。
 
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