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Oshizuki Building Side Story
第2章 Shooting the moon
 

 寝顔が、ある。


 混乱する頭でわかったことは、ここはホテルで。
 さらに言えば、ビジネスホテルとかではない、もっとチープで怪しげな内装の部屋で。

 ……ここは多分、ラブホで。

 でかいダブルベッドの上。

「………」

 恐る恐る布団を捲れば私は裸で、床に散乱するのはあたしの服や下着のすべてと、あたしのものだけではない服と下着も脱ぎ散らされている。

 え……。


 一気にあたしは青ざめ、上体を起こすと頭がズキズキした。

 不慣れなこの症状は、よく聞く"二日酔い"?

 酒に……飲まれたの、私!?


 隣に居るのは結城で。

 結城と同じベッドで寝ていて。


 そして、重苦しい下半身。


 ヤッた。


 間違いない。

 私、結城と寝たんだ!!



 そう思っていたら。


「……おはよう」


 結城が目を開けて私を見ていた。

 掠れた声。


「そんなに怖がるなよ」


 少し照れたような、はにかんだ顔。

 ……それが無性に腹が立った。

「したの?」

「え?」

「酒に酔った女を、無理矢理ヤッたのかって聞いてるのよ!!」

 言って、拒否感に全身総毛立つ。

「は? 覚えてねぇの?」

 責任がないというような結城を見て、軽んじられたと思った私の目から、涙が零れた。
 
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