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Oshizuki Building Side Story
第2章 Shooting the moon
 


 



 ……と思ったはいいけれど、私は恋する乙女になるキャラではない。

 陽菜みたいに可愛い女にもなれず、どうしても素直になるよりも、強がってしまう。

 雅さんへの恋愛のせいか、これは元々の気質だったからなのか、私は、ツンツンする女になってしまった。

 陽菜が帰った後も、結城からLINEやら電話が来るが、どうしても出ることが出来ない。向かい合うきっかけが与えられないと、私は進んでいけないタイプなのだと、思い知る。

 まだ結城が好きだとも自覚していない段階で、なにをここまで恋する乙女のように臆病になるのかとも思うけれど、そんな慣れないことをしろと言って帰った陽菜を思い出す度に、ため息が出る。

 今日はどうしても病室にはいけない。

 やはり雅さんの前で、息子と寝た女の顔を見せたくないんだ。

 私の中で雅さんの気持ちは、切ないままで凍り付いたような感じで、迫って拒絶をされたあの時から、激情として動くことがない。

 これなら結城に翻弄されていると苦笑しながら、私は会社に行くことにした。

 今まで雅さんとのことを思い悩んだ時は、会社で紛らわせていたクセが抜けきらないのかもしれない。

「なんでまた結城のために、二日酔いなのに会社に出るのかしら」

 しかし鎮痛剤が効いてくれば、二日酔いの症状もさほどではなく、私はため息をつきながら、玄関のドアを開け――、


「よう」


 すぐ閉めた。


「おいこら、なんで閉めるんだ!」


 結城が居る。

 ……諦めて帰ったんじゃなかったの!?


「真下衣里は出かけております。またの機会に」

「たった今、居留守だとばれただろ!?」


 なんで、結城がここに!?

 私は、足を挟んでドアを閉めさせない結城を、全身の力で押し出しながら、ふと帰る間際の陽菜を思い出す。


――お誕生日おめでとう衣里。衣里が欲しいもの、届けてあげるね。


 陽菜か!

 陽菜が結城に連絡したのか!


「俺とお前は、筋肉の付き具合が違うんだよ」


 私の抵抗虚しく、ドアが一気に開く。

 筋肉馬鹿の筋肉は、伊達ではなかったらしい。


「なあ、真下……」

「ひとの家に入って来るな!」

「お前が中に逃げるからだろ?」

「逃げてないわよ!」


 そう言いながら、私の身体は逃げるように後退して玄関から中に入る。

 
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