この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Oshizuki Building Side Story
第2章 Shooting the moon
 
「……可愛くなんかっ」

 慌てて顔を上げると、そこには……今まで見たことのない"男"の顔をした結城がいた。

 その眼差しがあまりにまっすぐすぎて、熱すぎて……私が思わず手で顔を隠すと、その手を取られてさらに顔を見られる。

「ゃだっ、見ないで……っ」


 そのままずるずると床に座ると、結城も屈み込んだ。


「見ないで、見ないでったらっ」


 恥ずかしい、恥ずかしい。

 結城を意識しているというのが、丸わかりじゃないか。

「いいじゃん。俺が見たいんだから」

「見るな、馬鹿っ」

「あははは……」

 結城は私の髪を耳にかける。ぞくっとして身震いした私を、軽く笑いながら言う。

「昨日、俺が抱いたのは……、同意だったはずなんだけれど」

 結城は苦笑する。

「ど、同意!?」

 黒い瞳がしっとりと濡れている。

 ……ああ、なにか記憶がある。これは。


――お互い、まだ忘れられなくても……、それでも少しずつ……、ゆっくりと時間をかけながら、一緒に前を見て歩いて行かないか。


 これは、結城の声。


――お前が真下家に戻って、会社に戻ってこないかと思って、ぞっとした。その時俺は、お前が傍に居て当然と胡座をかきすぎていたことに気づいた。そして俺は、お前とずっと一緒に居たいと思った、改めて。

――香月にも言われたんだ。望みすぎて、近くにあるものを見失うなって。俺が今、こうやって社長をしながら笑ってられるのは、真下、お前のおかげなんだ。

――俺のすべてをお前は見ている。だから今度は、お前のすべてを俺に見せてくれないか? 親父ではなく俺が、お前を支えたい。


 あれは、陽菜と香月が帰り、結城とふたりだけの二次会のバー。

 私は陽菜に八つ当たりをしてしまった罪悪感やら、香月の目が怖いやらで、ハイテンションで飲み過ぎていた中で、カウンターで隣の席に座った結城に、言われたんだ。

 付き合うというものより、まだ前の段階だったけれど。

 ……多分、記憶が間違っていなかったら。
 
/152ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ