この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Oshizuki Building Side Story
第1章 Shining bright Moon
 

――そりゃあいつも手を握っているからね。

 そうしたさりげないところから、完璧なものを用意してきちんとキメてしまう朱羽は凄いと思う。

――キメれてないよ。慌てて買いに行ったんだから。本当は薔薇の花束でも用意して、その中に忍ばせて置くか、シャンパングラスの中に沈めておくか、考えていたのに。

 朱羽はロマンチストなんだろうと思う。

 あたしはそういうのに疎いから、朱羽がしてくれていること、考えてくれていることが、新鮮すぎて喜びも倍増で。


――陽菜は、手口をよく知らないから、薔薇の花一輪でも結婚詐欺師とかにコロリといっちゃう気がする。俺、もっとあなたをきちんと捕まえてなきゃいけないな。指輪だけでは安心出来ない。

 ……朱羽だから、なにをされてもコロリといくんだけれどね。

 あたしの恋人は、あたしがどんなに彼が好きなのか、よくわかっていない気がする。


 キラキラと光るタンザナイト。

 この石があたしの元に来てくれたと同時に、朱羽が結婚というものに具体的な期間を出して、それに向かって進む婚約というものを口にし、形になったようなもの。これは朱羽の誓いでもあった。

 信じていなかったわけではない。
 別に心配していたわけでもない。
 結婚という形に縛られていたわけでもない。

 それでも、ただのファッションリングではなく、あたしの人生を縛る、重要な束縛アイテムだとわかった時、あたしは感激して喜悦したのだ。

 口約束から現実に移行した、その瞬間に立ち会えたことを認識した。

 たかが指輪なのかもしれないが、朱羽がくれた特別な指輪で、ようやくあたしの心も、彼に縛られて離れられなくなったように思えた。

 まるでドMみたいだけれど、指輪によって彼に従属することが出来て嬉しいと感じたのだ。

「あたしのところに来てくれて、ありがとう」

 朝露のように消えて無くならない、あたしの指に残るタンザナイト。
  
 これは現実なのだと実感する度に、嬉しくて。嬉しくて嬉しくて、またちゅっちゅとキスをしていたら、突然背後から抱きつかれ、首筋に熱い唇を押し当てられた。

「……なに、可愛いことしてるの?」

 気怠そうな色っぽい声が、あたしの鼓膜を震わせる。

 
/152ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ