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Oshizuki Building Side Story
第3章 praying for Moon
 

「うん。朱羽と杏奈が、去年前厄だったんだ。だったら今年はWの本厄だよ。今年もまだ色々起きるのかな」

「え、俺……厄なの?」

 朱羽は意外といわんばかりに、画面をじっと見つめている。

「気にしたことなかった。う、わ……」

 アメリカ帰りは日本の風習に無頓着だったらしい。

「厄って言ったら、悪いことだよね」

「お祓いすれば大丈夫だよ」

 去年、シークレットムーンが誇るプログラム隊がこぞって前厄であっても、そのプログラム隊が危機を何度も乗り越えてきたのも確か。

 人間は、生まれつき持ち得る運や意志によって、厄を抑えることも出来るのだろう。

「今からお祓い行こう。一刻も早く厄をなくさなきゃ」

「朱羽も杏奈も強運だし、だからそこまで心配することは……」

「会社じゃなくて、俺達だよ」

「え?」

 朱羽の顔は真剣だ。

「俺は、絶対今年あなたと結婚したいんだよ。その前に厄をこそぎ落としてやる」

 こそぎ……って、厄は頑固な油汚れですか。

「都内で厄祓いにいい神社は……」

 朱羽はあたしのスマホで、調べ始めた。




 銀色のフェラーリは、厄除け厄祓いをしてくれる神社や寺院を求めて、東京を疾走する。

 たとえば、東京都の上方で隣り合わせの川口市にほど近い足立区の真言宗系「西新井大師」。

 明治大学にまあまあ近い高円寺にある日蓮宗系「堀之内 妙法寺」、名取川家にやや近い、調布市にある天台宗系「深大寺」と、府中市にある大国の主の尊を祀る「大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)」

 どんな基準かはわからないが、朱羽が選んだ神社仏閣は有名どころみたいで、かなりの人数が溢れている。


 祈祷や祈願は、時間内に受け付けた大勢の中で、心願を種類ごとにグループ分けして、僧侶や神主が神仏に祈りを捧げる形で、先の受付時に書いた名前と住所と年齢が呼ばれる。


 神社と寺院の違いくらいは鳥居のあるなしでわかるけれど、厄というものは神道も仏教も共通している厄介なものなんだとしみじみ思いながら、そういえばあたしだって19歳が本厄なのに、その頃はぼんやりとしすぎてどこにも祈祷に行っていないことを思いだし、過去と未来の分、朱羽の隣で手を合わせた。
 
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