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Oshizuki Building Side Story
第5章 Coloring in a moon
 
「陽菜、俺をもっと温めてよ」

 朱羽の手があたしのブラウスの下に潜り、キャミソールの下の肌を弄る。
 その動きは、暖を求めて……というよりは、昨夜の情交を思い出させる淫らなもので、ブラの中に忍んだ手は淫らに胸を揉み込んでくる。

 あたしをよく知る手が、胸の尖りを強く捏ねてくれば、あたしの体はぴくぴくと跳ねてしまう。

「あっ、はっ、朱羽、駄目……っ」

 息が乱れ弾む。
 誰かに聞かれたらと思うと、いつも以上に弱々しく、抵抗にもならない。
 朱羽はそんなあたしの耳の穴に舌を差し込み、たっぷりと唾液の音を響かせ、明らかなる快楽をあたしに植え付けてくる。

「は、んん、朱羽……駄目っ」
「声、聞かれるよ?」
「……っ」

 黙っても、胸の愛撫を強められて声が出てしまえば、朱羽はくすりと笑って人差し指をあたしの口の中に入れ、口腔内を掻き混ぜるようにして、あたしの舌と絡み合わせる。

「ん……は……ぅんっ」

 ぴちゃぴちゃと淫らに舌と指が絡め合う。
 懸命に舌を絡ませるあたしを見ていた朱羽は、一瞬辛そうな顔を見せると、くいとあたしの顎を持ち上げ、指を引き抜く代わりに唇を重ねた。

 何度も何度も角度を変えられるキス。

 やがて唇の間からぬるりと差し込まれた舌が、あたしの弱い処を弄りながら、いやらしくあたしの舌に絡みついてきた。

「ん、んぅぅ……」

 くちゅりくちゅりと、いやらしい音が狭い室内に響いて。

 朱羽の蕩けるようなキスに頭が朦朧として、体が熱く濡れてしまう……。

 ああ、ここは会社なのに――。

 気づけば朱羽と指を絡め合って手を握り、彼の胸にもたれかかるようにして、彼のキスをせがんで甘受し、淫らなキスに夢中になってしまっている。

 気持ちよくてたまらない。

 それ以上に朱羽が好きでたまらない。

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