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Oshizuki Building Side Story
第5章 Coloring in a moon
 
「ちょ、朱羽!」

 慌てる陽菜。
 こちらに向けられる、たくさんの周囲の目線。

 気にするものか。
 この可愛い女性は、俺のものだ。
 恋人という立ち位置で生きられるのは、俺だけだ。

 そう独占欲むき出して抱きしめると、陽菜はおずおずと俺の背に手を回してきた。こうやって俺の意向を受け入れてくれる彼女が、愛おしい。

「はあ、公衆の面前で……絶対バカップルよね」
「いまさらだ」

 俺はコツンと陽菜の額に自分の額をぶつけると、ふたりで笑い合った。

「……ねぇ、陽菜」
「ん?」
「TATSUMIと喜多見響と結城さんと俺なら、誰が一番好き?」
「……本気で聞いてる?」
「……割と本気」
「そんなの……朱羽に決まってるでしょ! もう!」
「はは、そうか」

 俺は可愛い恋人の唇を再び奪い、安心した。

 


「イルカ、イルカー!」

 デジタル花火に囲まれながらのイルカショーが始まると、興奮した陽菜は、目をキラキラさせながら、「イルカ」しか喋らなくなった。

 夜でも働かせられる、社畜のイルカ達に若干の同情を向けながらも、素晴らしいパフォーマンスをする様に目を奪われ、気づけば陽菜と一緒に拍手をしていた。

 陽菜と付き合う前は、すべての催しは空々しく思えたものだけれども、陽菜が横にいてくれるのなら、世界が拓けて、俺自身知らなかった感情が生まれている気がする。

――朱羽、いい傾向だ。そのまま、人生を楽しめよ?

 俺の荒んだ昔を知る渉さんは、俺を見るといつもほっとした顔で笑う。
 恐らく昔の俺は、俺が思っている以上に感情を知らずに、ロボットのように生きていたのだろう。

 実際「青春時代はどう過ごしましたか?」と尋ねられても、陽菜が好きでたまりませんでした、と以外、みつからないのだ。
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