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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!
 
 むしろ休日に出なくてもいいように日頃の仕事を進めていくタイプで、今まではあたしとの時間を大切にしてくれた。
 それが朱羽なのだと思っていたけれど、どうも最近は違うように思う。

――また打ち合わせなんだ。遅くなるから先に帰って寝てて。

 仕事だけならいい。結構お酒を飲んで帰ってくる。
 それでも、そういう打ち合わせもあるだろうと、帰ってきてすぐ寝てしまう朱羽の体を労っていた最初の1週間。

 でもなにか違うと思ったのは、それが今でもずっと続き、そしてこの10日間、仕事の内容を聞いてもなにか曖昧で、なによりあたしは全く朱羽との触れあいが出来ていないということに気づいたからだ。

 ……別に、あたしはセックスが好きなわけではない。
 満月のためのセックス依存症も、朱羽のおかげでなんとか治まっている。

 だけど好きなひととの触れあいは、別問題で。
 別に義務でもなく、自然にそうして朱羽の温もりの中で眠るのが自然となっていた。

 それが互いに背を向けるようにして眠り、まるで倦怠期のようだと思った瞬間、これは本当に倦怠期か、朱羽がわざとあたしを拒んでいるのではないかと、疑念を抱いた。

「……あのさ、朱羽とお前、1週間にどれくらいセックスしているよ?」

 歯に衣着せぬ彼の言葉に、少なからずこちらに聞き耳をしている客がいるようで、それまでざわめいていた喫茶店内が、静まり返ったように思う。
 顔を赤らめるあたしに構わず、渉さんは渉さんなりに真剣に考えているようで、いつものような揶揄じみた表情ではなく、至って真面目な表情で追撃する。

「週3あたりはあるのか? 2ラウンド? それとも1ラウンド?」

 ……ひとのプライバシーにびしばしと突っ込んでくる、忍月家長男。
 
「カバ。どうだ? 回数が少なくなる予兆はあったのか?」

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