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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!

あまりに真剣すぎる彼は、あたしが答えるまで、より具体的に追及してくる気らしい。
答えたくないけど、あたしから相談してしまった手前、そしてなにより渉さん相手に無言を貫けないだろう。
そう思い、仕方がなくあたしは、周囲を窺うようにして小声で答えた。
すると耳を傾けていた渉さんが驚いた顔で、反芻する。
「え、毎日最低よ……ふごごご」
あたしは、慌てておしぼりを渉さんの口に押し当てた。
「うわー、若さってこぇー」
若干引き攣った顔をする渉さん。
そう言う渉さんはどうなのか聞いてみたい気がしたが、これから渉さんや沙紀さんとの交流に影響が出そうな気がするから、やめておく。
頻度が多いとか少ないとかはいいのよ。
別に誰かと比較したいわけじゃないし。
問題は、突然そういう行為だけではなく、キスすらしなくなってしまったことだ。口では普通に愛を語るけれど、どこまでも清く正しく美しいプラニックになってしまったのだ。
断じて欲求不満とかじゃなく!
「でも朱羽も疲れた顔をして、会社でも時々欠伸をかみ殺したりしているから、疲れているとは思うんです。だけど……」
逆接で言葉を切ると、腕組みをして長い足を偉そうに(偉いけど)組んでいる渉さんは、眉間に皺を寄せ、顎で続きを促した。
「酔って帰ってきて寝ている朱羽のスマホに、あたしの知らないひとからLINE通知が入って」
LINE通知は大体30文字くらいが見れる。
内容はと言えば――。
『昨夜はかたじけないでござる。あの接吻は』

