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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!

 窓から見える黒い空には、真ん丸の月が浮いている。
 今日は、満月だったのか。

 ああ、狂いたい。

 かつてあたしを狂わせた満月よ。
 どうかこのままあたしを狂わせて。

 この痛みがどうでもいいと笑えるくらいに、朱羽の代わりとなれるなにかを頂戴よ。

 もう、終わる愛なんていらないから。
 だから――この痛みから逃れたい。

 いっそ誰か、あたしを殺して――!


「うあああああああああ!!」


 ……此の世に永遠なんてあるはずはない。
 わかっていたのに、夢を見た。
 
 リビングにはあたしと朱羽の痕跡がある。
 いつどこでどんな状況で買ったのか、すぐに思い出せる。
 それは……朱羽にとっては、疎ましく思うものなのかな?

 あたしは朱羽を縛ってはいけない。
 分不相応な夢を見せて貰ったことだけでも、感謝しないといけないんだよ……?

 込み上げる奔流の想いを、ぐっと堪えてあたしは笑う。

「はは、ははは……」

 誰もいない部屋の中、あたしの乾いた虚しい笑いだけが響き渡った。



 そして……あたしは決意する。

 あたしは、朱羽が宣告したタイムリミットが耐えられない。

 朱羽に別れようと言われたら、あたしは泣いて狂って散々に朱羽を罵って。
 ……そして別れたくないと、惨めな姿をさらしてしまうだろうから。

 朱羽にこれ以上幻滅されたくないの。
 これ以上、きっと若いその子と比べられて、嫌われたくないの。
 せめて、きらきらとした思い出だけはこのまま永遠に残したいから。

 これがあたしに出来る最後の〝いじっぱり〟。
 だから、ごめんなさい。

 あなたが好きだから、あなたから離れようと思います。
 あなたに別れを告げられたくないから、あたしから告げます。

 さよなら、と。
 今までありがとう、と。

 朱羽、あなたが今、他の誰を愛していても。
 それでもあたしは――ずっとあなたを愛している。

 
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