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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!

「嘘のはずない! だから俺、本家の仕事猛スピードで覚えているじゃないか。もう俺の周辺も落ち着いてきたから、一秒でも早く陽菜と結婚したいよ」
『じゃあさっさと結婚しろよ、遊んでねぇで!』
「遊んでなどいない! それにいまだ陽菜と結婚出来ないのは、陽菜が待ったをかけているからだ! それがなきゃ、かっ攫ってでもチャペルに行くよ!」
『はあああ!? カバが待ったをかけてる!?』
俺は、勢い任せに言ってしまった言葉にため息をついてから、続けた。
「陽菜、渉さん達に顔を立てさせてあげたいんだよ……」
――朱羽、このことは渉さんと沙紀さんには言わないでね。凄く気にしちゃうと思うから。
優しい陽菜は、俺の好きな渉さんと沙紀さんの気持ちを慮って、早く名実ともに陽菜を俺のものにしたい俺の気持ちは後回しだった。
――朱羽を支えてくれたのは渉さんでもあるんだよ? だったら彼らが先に幸せにならないと。ね?
まるで赤子を諭すように。
『立てるって、なんの顔だよ』
「渉さん、長男だろう? だから弟が先に結婚したら、面目潰れるだろうって。俺達は渉さんが結婚してからの話だって。ああ、これ……言うつもりはなかったんだけど」
世間に知らしめる……忍月を背負う覚悟をしている長男と、裏から支えようとしている男前な女性の結婚なのだから、そこはきちんと順序立て、世間様から後ろ指指されないようにという配慮を聞けば、俺も子供のように「結婚、結婚」と駄々など捏ねることは出来なくて。

