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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!

『なんだよ、それ……。俺だって沙紀と一秒でも早く結婚してぇよ。結婚式に時間かかるなら籍だけ先でもいい。だけど沙紀は……、まずお前とカバがちゃんと幸せになってからなのを確認したいって』
「え……」
それは初耳だった。
『お前が過去、どんなに苦しみながら忍月らと戦い、そしてカバを求めたのか。その集大成である結婚を、親族からではなくお前を見続けてきた〝吾川沙紀〟として見守りたいって。だから俺、お前に早く結婚しろとせっついてきたし、仕事もハイペースでやってきたじゃねぇかよ』
……なんと言うことだろう。
俺と渉さんの姫達は、互いに似たことを言いだし、俺達に我慢を強いてきたということだったらしい。
このままならば俺も渉さんも結婚しないまま、互いに遠慮して年を取る危険性もあったことが露呈された……ということにもなる。
……少しでも早く結婚したいと思っているのは、俺達男だけなのか?
そう思うと、溺愛の血筋を恨めしく思うけれど。
『じゃあ、お前なんでカバに触れないよ? 悩んでいたぞ?』
「それは……」
俺は電話口で赤くなる。
「俺にも色々あって……」
『まさかお前、その若さで使いすぎて勃たなくなったとか……』
「な……っ! 俺は、陽菜に関してはそういうことには無縁だから!」
『じゃあなんで……』
その時、俺の名前が呼ばれた。
「ごめん、渉さん。今仕事中なんだ。詳しくはわからないけど、陽菜が俺の態度で誤解していたことはわかった。もう少しで上がれるから、そしたら陽菜と話し合ってみる。確かに俺、仕事に追われすぎていたし、元々そのつもりだった」

