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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!

 部屋の白さが俺の頭の中にまで浸透してきたかのように、真っ白い頭ではなにも考えられない。

 ただわかるのは、彼女がいないということ。
 彼女に、戻る気がないということ。

「嘘だ、そんなの……」

 白いテーブルに、一枚の紙が置かれていることに気づいた。
 慌ててそれを見ると、そこに書かれていたのは――。

『今までありがとう。さようなら』

 そして置かれていたのは、タンザナイトの指輪。

――幸せボケしすぎて、お前は現実を理解出来ていねぇよ。

 さぁぁぁっと全身の血の気が引いた音がした。
 その字は、俺がよく見知る彼女の字で。

 その字が告げているのは、残酷な別れの言葉だった。

 息が……出来ない。
 体が震える。

 どうかこれは、悪夢であって欲しい。
 こんな現実、俺は耐えられそうにない。

 彼女が、俺の世界から消えてしまったなどとは。

「……は、っ」

 心臓が痛い。
 治したはずの心臓が、悲鳴を出している。
 まるで油の切れたゼンマイ人形のような……軋んだ音をたてて、幸せの終焉をきりきりと告げている。

――香月課長。
――朱羽……。

 嘘だ。
 そんなこと嘘だ。

――朱羽、好き。
――永遠に、愛してる。

 『さようなら』

 俺のは封筒を捨てて、指輪を握りしめる。

――ねえ、朱羽。あたしの嫌いなところはどこ?

 思えばあれは、兆候だったのではないか。
 それがわからず俺は……。

 ああ、陽菜が、俺から離れようとするなど――。

――今、カバとの危機だという自覚もねぇんだろうが!

 駄目だ、そんなの。
 駄目だ、駄目だ!

「陽菜――っ!!」

 俺は、部屋を飛び出した。



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