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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!
10日間ぶりのそのキスは、噛みつくような荒々しいものから始まり、そしてゆっくりとあたしを蕩けさせるキスに変わる。
思わず吐息が漏れてしまうほどにうっとりとするようなそのキスを、拒もうとした手は押さえつけられ、逆に彼の腕の中に収められたあたしは、朱羽しかいない世界で理性を薄めさせることしか出来ない。
ちゅぱと音をたてて唇が離れると、欲情したような蕩けた朱羽の瞳があたしを見る。
それは恋しいというような、やるせないというような、あたしの胸を突くほどの悲しげなもので、あたしは魅入られて言葉を失ってしまった。
「……好きです」
朱羽が唇を震わせて言った。
「俺は、鹿沼陽菜さんだけを生涯愛します」
まるで、結婚式の宣誓のように。
「他の女なんて目に入らない。陽菜だけが欲しい。陽菜がいない人生は、考えられない。他の誰もあなたの代わりなんて出来ない」
切れ長の睫毛が震えながら、苦しげに細められる。
「戻ってきて、陽菜。別れたいなんて、俺を殺さないで」