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Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!
「説得が成功して仕事になったけれど、ひとりでやるにはかなり大きくて。でも三上さん、今大変な時だし、ひとりで頑張っていたら……毎夜、断固拒否しているのにじいさんに飲みに連れて行かれて。そしたら途中で必ず喜多見響と、その彼女の桐嶋さんも呼ばれてね。じいさん帰っても、喜多見響がつっかかってくるからついつい酒を飲んで付き合ったら、前後不覚に陥って」
つまりは、あたしが悶々としている間、朱羽は大変な仕事をひとりでしていた……ようだ。
キタミヒビキのポスターが欲しいがために、飲み会が好きでもないのに、喜多見響と(その彼女と)飲むまでして。
それはまず――。
「それはお疲れ様でした」
そして、労いと同時に――。
「そっか、喜多見さん彼女連れで来たんだ」
有名人の天才カリスマデザイナーも、公で堂々と連れることが出来る彼女がいるのかと、ただ思って言っただけなのに、朱羽は涙目でキッと睨む。
「喜多見響の彼女になりたかったわけ!?」
「違います!」
……なにやら朱羽はむくれている。
「だから言うの嫌だったんだよ。喜多見響の方が年上だし、名声もあるし、絶対あなたが俺よりそっちの方がいいと言うと思ったし」
「そんなことないって! アーティストに対する敬意はあるよ!? だけどあたしは、彼の作品に興味はあっても、彼にあるわけじゃないし」
「どうだか……」
朱羽は恨みがましい眼差しをすると、唇を尖らせる。
「でもさ、だったら〝ひまりん♡〟って誰? 喜多見さんと朱羽が接吻を交わしたの?」