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立ち会うことになったが俺の役目は特になかった。
第1章 薔薇屋敷。
やたらと薔薇の花が植えられた豪邸だった。アークルの一族に生まれ、金持ちに美貌を見初められて引き取られた雪村葵はこの屋敷の主の子をはらみ、今日が予定日であるという。
彼は男であるが妊娠出産できる特殊な一族であるため、存在がばれると厄介なので人間の産婦人科にはいけない。そうでなくたって男の妊婦が行く病院なんかあるはずもなく。
一族にかかわりの深い、というか自分もアークルの者と事実婚した新米医者の俺が呼ばれたのである。
屋敷について、産室に入ったら、葵は若い執事に剃毛されているところだった。髪と同じ淡い金色の毛が剃り落とされて、白い肌があらわになっていく。
「気分、どう」
こえをかけたら、葵はバイオレットの意志の強そうな瞳で見た。
「大丈夫……ぅっ」
すでに陣痛が始まっているらしい。
彼は男であるが妊娠出産できる特殊な一族であるため、存在がばれると厄介なので人間の産婦人科にはいけない。そうでなくたって男の妊婦が行く病院なんかあるはずもなく。
一族にかかわりの深い、というか自分もアークルの者と事実婚した新米医者の俺が呼ばれたのである。
屋敷について、産室に入ったら、葵は若い執事に剃毛されているところだった。髪と同じ淡い金色の毛が剃り落とされて、白い肌があらわになっていく。
「気分、どう」
こえをかけたら、葵はバイオレットの意志の強そうな瞳で見た。
「大丈夫……ぅっ」
すでに陣痛が始まっているらしい。