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立ち会うことになったが俺の役目は特になかった。
第2章 ここから。
「……は、はあ……はっ」
葵のほおが上気していく。
そのうち、穴の向こうに頭らしきものが見えた。
「うっ……ぅ……んーっ」
それに合わせたいきみで、赤ん坊が押し出されてくる。
もう少しで出そうだ。
「んっ」
ぐちゃり、と音がしてついに頭が露出した。
そこに、トントントン、とノックが響く。
「葵っ」
「旦那様」
執事が葵の猿ぐつわをといた。
「来ないで!」
「なに言ってるんだ。その子は俺たち二人の子だろう?」
「ヒロ……」
葵が折れたのをみてとり、執事がドアを開ける。
長身の男が入ってきた。
「もう少しで体も出ます」
執事の言葉に、旦那が葵の手を握る。
「葵……」
「はい、僕たちの子、ちゃんと……産むから見て……」
そして強くいきむ葵の足の間から、ゆっくりと新しい命が生まれでた。
俺はへその緒を切り、二人に子を抱かせる。
「よかった……」
葵は涙をこぼして微笑み、夫が彼に口づけた。

結局、俺にできたことは特に何もなかったけど、ここに居合わせてよかったんだと思う。帰ったら相方と愛し合おう。

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