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癒らし屋日記 #葵さん
第2章 その、馴れ初め
そうしてぼくたちは友達になり、時々会ってはセックスをするようになった。
彼女の旦那さんは高給取りでそこそこリッチな暮らしをしていたけど、彼女自身にそんなにお金に余裕がある訳ではない。だけど、彼女は会う時のお金をすべてぼくが負担することを好まなかった。何事にもフェアでいたい、というのが彼女の意向だったからだ。
ぼくは、葵さんの彼のように毎回会うときにシティーホテルに招待できる身分ではないことを伝え、結果、最初のデートは新横浜のラブホテルになった。
たぶん、その“モデルのようにハンサムな彼”に心のどこかで嫉妬していたんだと思う。
全然ハンサムじゃなく、リッチでもなく、セックスの技がある訳でもなく。そんな自分が彼女のような美人さんを愉しませることができるんだろうか?
エッチデートの前は、なんだか結構考えてしまった。
駅で落ち合って、スタバのふたりがけのソファーに座って、低い声で話をする。
変な話だけど、企画で勝負だな、と思っていた。
もう、直球では何をしてもかなわないから、変化球でいくしかない、と。
「ねぇ、葵さん、変なこと聞いても?」
「またスケベなこと?」彼女は笑ってくれた。
「今日のことだけど…」
うん。
「挿入、したい?」
「それはまた随分な質問ね」
ちょっと、胃がキュッとちぢんだ気がした。