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癒らし屋日記 #葵さん
第2章 その、馴れ初め
葵さんとは、性の趣味がよく合った。
彼女には一度も言ったことがなかったけど、本当は片想いしていたんだと思う。
ネットで知り合って、初めてデートした時は、西麻布のイタリアンレストランでのランチだった。その日はエッチなことは一切なしで、互いのことを話し合った。よく冷えたワインを程よく飲んで、彼女の旦那様やおチビさんのこと、前の旦那さんとの壮絶な離婚話や、いま現在の婚外の彼氏の話をしてくれた。
「柏木さんと話してると、なんだか喋りすぎちゃうよ」と彼女は言ってくれた。
言い方は悪いけど、ちょっとシモブクレ気味な輪郭。だけど、黒目の大きな印象的な瞳、そして通った鼻筋。ふっくらとした量感をたたえた唇。本人ご自慢の豊かなバストと、くびれたウェスト。身体はとてもメリハリが効いていて、きれいだった。
男勝り、というか。
自分が美人であることに確信を持っていて、いつでも男性を意のままにすることができる、という自信を持っている人だった。だから必要に応じて、甘えることも命令することもできた。
そういうのをひっくるめて、すごく大人な、美人さんだったと思う。