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隠しごと
第3章 痴漢
4月某日
昨日は人生最悪な日だった。
まさか男に胸を触られるなんて。しかもィかされるなんて。
あれがいわゆるBLってやつか。
(ふざけんなっ…あんなのただの強姦じゃねぇか!)
もう恥ずかしいとか悔しいとか頭の中はぐちゃぐちゃで、昨日は一睡も出来なかった。
目の下にはハッキリくまができてる。
「…くん、…くん!井上くん!!聞いてる!?」
「あっなに!?」
ぼんやりとしていた頭に、聞きなれたクラスメイトの声が聞こえてきた。
グラフィック専攻の俺達のクラスは他のクラスと違って男子の割合が高い。
20数人しかいないクラスの中に女子は4人だけだ。
だからか、逆に男女の中は案外いい。
「さっきからよんでんのに、どしたお?」
「いや、ちょっと考え事をば」
曖昧に笑って、教科書をめくった。
パースのかかった背景線画を眺め、意味などなくただ文字の羅列をおうだけの簡単なお仕事。
30台前後のパソコンが並ぶ教室で、先生の声が響く。
ふと目があった隆にニカっと笑いかけて、また教科書に視線を移した。