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隠しごと
第1章 呟き

3月某日、俺は環状線の電車に揺られながら学校へ向かっていた。

車窓の向こうは初春に浮かれた桜が蕾をつけ始め、うららかという言葉が相応しい風景に光が、気温さえ勘違いさせるようにふりそそいでいた。

俺は朝の通勤ラッシュをさけた時間、9時過ぎに捕まえた車両に揺られながらライトノベルを読んでいる。
都心から近い場所にある、俺が通っているデザイン学校はその道を目指す人間にとってはそこそこ名は知れていると思う。
授業道具を入れてパンパンに膨らんだプラスチック製の鞄。

ガタンゴトン

不規則的な揺れに、驚いたように傾いた鞄を戻して、ふと前を見た。

(うわっ…あの人パンツ丸見えなんだけど)

目の前に開かれたムッチリとした白い太ももの奥に、ぷくりと膨らむ下着。

思わず顔をそらして、反応しそうになった可愛そうな息子を隠した。
鞄から取り出したスマホを撫で、いつもの呟き



【RYU:電車なう。今から学校(´∀`)/】





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