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隠しごと
第1章 呟き
某ビル前
俺は年にあるかないかくらいのスピードで走っていた。傘が邪魔臭くて、まだ小雨なのをいいことに降りたたんだ。
「ハァ…ハァ…えっと…確かこの辺…」
荒い息をそのままに、辺りを見渡す。
見慣れた置物、若者たちが目印にするその場所で、ただ一人他とは違う空気をまとった青年がいた。
少し遠くから見ても端正な顔が分かる。
艶やかな少し襟足のある黒髪を流し、近くを行き交う女性達の視線を独り占めしていた。
彼女と待ち合わせか?リア充爆発しろ
劣等感に苛まれながら、俺は彼に背を向けそこに立ってメールを送った。
【件名:着いた
本文:なし】
チロリンチロリン♪
すぐ近くから音が聞こえてきてびっくりして視線をあげる。
目の前にあったのは
「…君がRYUくんやったんや。思ってたんと違うくてびびったわ」
ニコリと笑う、冷たくて綺麗な顔だった