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サキュバスちゃんの純情《長編》
第7章 傷にキス
「――水森貴一は、自殺しました」
……え?
顔を上げると、水森さんの冷たい視線。
「村上叡心と同じように、海で」
なに、それ。何、それ。知らない。
「結婚し、子を作っても、あなたへの想いを断ち切ることができないまま、あなたを手放したことを悔いながら、死にました」
水森さん、私は。
「もう一度、よく考えたほうがいい。あなたの生き方を。男への接し方を。あなたが何を望むのかを」
私、は。
「……相談になら、いつでも乗りますので」
だから、私は、会いたくなかったんだ。
この人は、私の心を乱していく。私の心にいつの間にか入り込んでくる。
私が一生懸命作った壁を、こんなに簡単に壊していく。
優しい顔、水森貴一と同じ。
本当に――本当に、大っ嫌い。