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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

 健吾くんは宣言通り、私の体を隅々まで洗ってくれて、綺麗にしてくれた。
 泡だらけの胸をひたすら揉みしだいていたのには、笑ったけど。

 でも、「外は綺麗にしたから中は俺が汚す」と息巻くのは理解ができない。
 性急な繋がりを求めず、ちゃんと濡らしてくれたのはありがたいけど、翔吾くんがつけたキスマークの上にさらにキスマークを重ねられるのも、理解できない。
 痣みたいになっちゃったんだけど!

「あかり、気持ちいい」
「やっ、あ、あ」

 拙い腰使いでも、奥までは届く。加減を知らない健吾くんが、激しく自分の欲望を打ち付けてくる。
 まるで獣のよう。
 交尾、という言葉が一番しっくりくる。
 揺れる水面、響く情事の音、交わる嬌声。すべてがいやらしく、欲情を煽る。

「あかり、そろそろ……っ」
「いいよ、来てっ」

 窓ガラスに映る健吾くんの表情は、とても色っぽい。
 私が見ているとも知らず、目を閉じて快感に打ち震えながら、薄く開いた唇から「イク」と小さく零す。
 その瞬間に、彼の体が震え、腰を私に強く押し付ける。「あぁ」と呟きながら、何度も、何度も。
 ドロリと吐き出された白濁が、食欲を満たす。性欲も同時に満たしてくれる。

「あかり……あかりさん……」

 本当は、軽井沢には来たくなかっただろう。だって、どうしたって、私と藍川のことを思い出してしまうはずだ。あの、暴力的な情事を。
 それでも、健吾くんは来た。翔吾くんに煽られたからなのかもしれないけど、それでも彼は、来た。

 過去に向き合おうとしているのかもしれない。ただ、性欲に負けたのかもしれない。どっちでも、いい。
 私は、受け入れるだけなのだ。

「ご馳走様、健吾くん。気持ち良かったよ」
「俺も、気持ち良かった……」

 崩れるように浴槽に肩まで沈んで、健吾くんと抱き合ってキスをしながら、体力的に無理かもしれないと思う。
 このあと翔吾くんと二回のセックスは、正直、厳しい。
 翔吾くんに頼んで、夜と朝で二回にしてもらおうと決意する。どうしても翔吾くんが二回やりたかったら、私は寝てしまおう。
 だって、無理。本当に無理。

 やっぱり、二人は、しんどいです……!

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