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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「別に、一番じゃなくてもいいよ。二番目でも三番目でも、不特定多数の中の一人でいい。元はセフレだったんだから、それくらい、構わない。驚きもしないよ」
「でも」
「でも、何? あかりは俺のこと好きなんでしょ? 好きになってくれたんでしょ?」

 好きになって、しまった、のだろう。きっと。気づかないまま。絆されて、情が移ってしまった。

「う、ん。好き」
「だったら、いいよ。俺以外に好きな人がいても構わない。俺のこともちゃんと好きなら、それでいい」
「でも、普通じゃないよ」
「セフレを好きになること自体、普通じゃないよ」

 好きな人が何人もいて、いいわけがないのに。それはおかしいことなのに。
 翔吾くんが私の太腿の上に馬乗りになる。いつの間に、ボクサーパンツだけになったのか。いや、最初からボクサーパンツだけだったのか、わからない。
 形がはっきりと浮かび上がる肉棒は、その欲望を私に伝えてくる。

「あかり、好きだよ」
「翔吾く」
「愛してる。あかりのことを愛している」

 甘い声が耳元に落とされ、ふるりと体が震える。あぁ、なんて、甘美な響きなんだろう。

「あかりも、同じ気持ちだと思っていいんだよね?」
「……うん」
「だったら、もう、セフレじゃなくてもいいよね?」
「え?」
「あかりを彼女にしてもいいんだよね?」

 彼女。かのじょ。……彼女!?

「好きだよ、あかり。俺と付き合ってください」
「あ、あの、だから、私の話を」
「無理。もう我慢の限界。あかりがかわいすぎる。挿れて、ぐちゃぐちゃにして、中で思いきりあかりを汚したい」
「しょう、ごっ」
「限界。汚すよ」

 だから、私の話を、聞いて!

 私の声は、結局、翔吾くんには届かなかった。翔吾くんは私の返事を聞かないまま、私の体に赤い痕を残し始めるのだった。

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