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サキュバスちゃんの純情《長編》
第12章 性欲か生欲か
「……気持ち良かった、です」
私の答えに、二人がほっと胸を撫で下ろす。そして、前から、後ろから、ぎゅうと抱きすくめられる。
「あかり、好きだよ」
「あかり、愛してるよ」
「いや、望さんより俺のほうが!」
「翔吾よりは俺のほうがあかりを愛してるからねー」
求められると体も心も疼く。応じてあげたいと思う。
愛されているとわかると、幸せな気分になる。幸せであり続けたいと願ってしまう。
セックスだけが二人と私を繋ぐものだとは思わないけれど、それがきっかけであることに間違いはない。
生きていたいという生欲が、食欲と同義だった性欲が、他の意味を持つようになった。
幸せにしたい幸せでありたい、愛したい愛されていたい、気持ち良くさせてあげたい気持ち良くなりたい、と願うようになってしまった。
それをずっと叡心先生の死のせいにして向き合わず、悪いことだと思っていたけれど――そうではないんだろう。たぶん、普通のこと、なんだ。
サキュバスとしては、性欲も生欲もきっと同じもので、求めてしまうのが普通のこと。
「とりあえず……」
次はベッドでどちらがどういう体位でヤルか、と火花を散らしている二人を呆れながら見つめて。
「今夜はもうセックスはしません!」
「え、何言ってんの、あかり!」
「いやいや、するよ。したいよ、俺!」
二人のブーイングを聞きながら、私は笑う。
あぁ……幸せだなぁ。