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サキュバスちゃんの純情《長編》
第12章 性欲か生欲か
「……しばらく、お別れだ」
また、会える?
嫌だ、別れたくない、と泣き喚きたいけど、今、私が望むのはそんな別れじゃない。
また、会いたいの、あなたに。
「会えるとも。待っているから」
本当に?
ふわり、左手から熱が消える。
視界が淡く、白く、明るくなっていく。
「……いつまでも」
本当に、待っていてくれる? ずっと先のことになるかもしれないけど、待っていてくれる?
庭が消え、視野が真っ白になる。
彼はもう、応えてはくれない。
また、会いたい。
あなたに会いたい。
そして、そのときに、笑顔で報告してあげる。
私は――これだけの男たちに愛され、幸せにしてもらったの、と。だから、寂しくなんてなかったのよ、と。
そしたら、あなたも笑ってね。
困ったような笑顔で、私を抱きしめて。
今度は離さないと誓ってよ。
ね、私が愛した男の、『一人』――叡心先生。