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サキュバスちゃんの純情《長編》
第12章 性欲か生欲か

 ――でも、まぁ、いいか。

 どうしたって、私は貞淑な妻にはなれないし、身持ちの堅い彼女ではいられない。不特定多数の男性と交わることに抵抗もない、浮気性な女なのだ。
 生きるために精液が必要だと言いながら、結局は、過程であるセックスも――好き、なんだと思う。

「あのねぇ、二人とも!」

 ベッドに放り投げられて、既に臨戦態勢の二人を見上げて、私は笑うのだ。

「私を気持ち良くしたいだなんて言いながら、気持ち良くなりたいのは二人のほうでしょ!」

 もう、操立てする必要は、ない。
 私を愛した男たちの記憶ごと、叡心先生に愛してもらえばいい。愛した人に、過去も現在も、未来さえも認めてもらえばいい。

 お腹が空きました。
 セックスは食事、精液はご飯です。
 体だけの関係で我慢――できなくなったら、あなたの愛をください。

「望み通り、気持ち良くさせてあげる」

 ただ、求めて。私を。
 私の愛も、あげるから。

「受け止めてあげるから――」

 二人に両手を伸ばして、笑う。
 お互い、気持ち良く、なりましょ。

「――おいで」

 ね、二人とも。
 精液、ちょうだい。







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