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サキュバスちゃんの純情《長編》
第14章 小咄(一)

東京駅→品川駅

「四時間かけて尾道に行って、あかりがいなかったらどうすんの? その水森って人、信頼できるの? ってか、そいつ、あかりとどういう関係なの? 何で尾道にいるってわかるの?」
「……」
「尾道って何が美味いの? 俺、広島初めてなんだけど。お好み焼き? 広島焼き? 美味いの?」
「……お前、広島焼きなんて言ったら広島人に殺されるぞ」

 サラリと嘘をついて翔吾をビビらせる望。


◆◇◆◇◆


品川駅→新横浜駅

「月野あかり、見つけたよ。海岸通りのホテルだった。キャンセルしとく?」
「現地でキャンセル料支払うって伝えておけ。ダメだったら支払い方法聞いとけ」
「はーい」
「三人で泊まれるホテル……ダブルかぁ。キングダブルってどれくらいの大きさだ? クイーンよりは大きいのか?」
「へぇ! いいじゃん、ダブル。こないだは望さんがあかりと一緒に寝たんだから、今度は俺とあかりが一緒ね」
「じゃ、俺が今度はお風呂でイチャイチャしてもいいんだな?」
「……」
「……」
「……じゃんけん」
「望むところだ」

 どちらにしろ、耐久レース。

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