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おにいちゃん、おしえて。
第9章 初恋は実らない?
そうして、つきあって数ヶ月経ったある日。
清花は隼の家で雑誌を読んでいた。
その内容は、変わった性癖特集というもの。

隣で一緒に読んでいた隼は、友達が体験した変態行為を引き合いに出した。
その行為が……女の子に尿をさせるというもので、隼は「俺たちはまともだよな」と笑っている。

「ションペンなんてありえないだろ。キモいってー」

隼の意見は、もっともかもしれない。
しかしその時の「キモい」は、清花の心のどこかで引っかかり続けた。

ささいな雑談での話だ。
英司について否定されたわけでもないし、もっとも、英司の性の趣味など隼は知っているわけもない。
私が、おにいちゃんにした行為も、何も知らない。

――でも……キモくなんかない……。

他人が、他人の趣味を、簡単に否定するのは、違うと思う。
何も知らないのに、そういうふうに人を貶めて笑うのは、違うと思う……。

清花は、反論が喉まで出かかったが、言っても伝わらない気がして、口をつぐんだ。


キモくなんてない。
そんな言葉、簡単に使う方が、おかしいよ……。



それからしばらくして、清花と隼は別れた。
あの発言が直接的な原因ではないが、ずっと心にあったのは確かだ。
そして、隼をずっと処女として騙し切った自分自身も、ろくでもない人間だと嫌悪した。

そして、何より。
清花の心にいるのは、隼ではなかった。
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