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おにいちゃん、おしえて。
第10章 おにいちゃんと、いっしょ。
まだ、英司が東京に来る前の話。
その日はバレンタインデーで、清花が手作りトリュフをくれた、あの日。
「――英司君」
バイト帰りの英司の背中を叩いたのは、清花の父だった。
「あれ、おじさん……お久しぶりです」
戸惑いながら英司が頭を下げると、清花の父は駅の外を指差した。
「ちょっといいかな?英司君に話があるんだ」
ちょうど仕事帰りだという清花の父は、いつもの笑顔で英司をつれて、駅近くのファミレスに入った。
いつの間にか英司よりも小さくなった、“きーちゃんのパパ”。
「おじさん。話というのは……」
向かい合ってオーダーが済んでも続いていた沈黙に、英司の方から切り出した。
清花の父は、顎の下で指を組んで、仏のように穏やかに微笑む。
「ん、まずは食べようか。もっといいもの食べさせてあげたかったけれど。それでも、最近のファミレスも悪くないね」
英司も、清花の父が何を言うのか――心当たりがないわけではなかった。
しかし、本当にいつもと変わらない笑顔で、英司を見つめている。
その日はバレンタインデーで、清花が手作りトリュフをくれた、あの日。
「――英司君」
バイト帰りの英司の背中を叩いたのは、清花の父だった。
「あれ、おじさん……お久しぶりです」
戸惑いながら英司が頭を下げると、清花の父は駅の外を指差した。
「ちょっといいかな?英司君に話があるんだ」
ちょうど仕事帰りだという清花の父は、いつもの笑顔で英司をつれて、駅近くのファミレスに入った。
いつの間にか英司よりも小さくなった、“きーちゃんのパパ”。
「おじさん。話というのは……」
向かい合ってオーダーが済んでも続いていた沈黙に、英司の方から切り出した。
清花の父は、顎の下で指を組んで、仏のように穏やかに微笑む。
「ん、まずは食べようか。もっといいもの食べさせてあげたかったけれど。それでも、最近のファミレスも悪くないね」
英司も、清花の父が何を言うのか――心当たりがないわけではなかった。
しかし、本当にいつもと変わらない笑顔で、英司を見つめている。