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おにいちゃん、おしえて。
第10章 おにいちゃんと、いっしょ。
「君も来月から大学生なんだねぇ」
懐かしむように目を細め、清花の父にっこりと微笑んだ。
「……はい」
「東京か。今は近いからね。僕の若いころは行くのに何時間もかかったけれど、今は新幹線に乗ってしまえばね」
「……はい」
「寂しくなるね」
なかなか本題に入る事はない。
もしかして、本当に食事するだけだったのかもなと、英司は考えていた。
「ごちそうさまでした」
「いい食べっぷりだったねぇ、頼もしくなったもんだ。小さい時から見てるからねぇ……」
ハハハと笑うその人を見て、英司は警戒していた表情を緩める。
笑顔の出た英司に清花の父は、失望の混じる悲しい笑顔を見せた。
「僕が何を言うか、君のことだからわかっているよね」
――英司は、冷水を浴びせられた気分になった。
「……君にとっては、出来心なのかもしれないが。もう……清花と会わないでやってくれるかな」
英司は緩んだ表情のまま固まり、何も言う事ができずに、その場に立っているだけだった。
清花の父は、苦々しく唇を噛み、憎しみの籠った眼差しを、昔からかわいがっていた英司に向ける。
懐かしむように目を細め、清花の父にっこりと微笑んだ。
「……はい」
「東京か。今は近いからね。僕の若いころは行くのに何時間もかかったけれど、今は新幹線に乗ってしまえばね」
「……はい」
「寂しくなるね」
なかなか本題に入る事はない。
もしかして、本当に食事するだけだったのかもなと、英司は考えていた。
「ごちそうさまでした」
「いい食べっぷりだったねぇ、頼もしくなったもんだ。小さい時から見てるからねぇ……」
ハハハと笑うその人を見て、英司は警戒していた表情を緩める。
笑顔の出た英司に清花の父は、失望の混じる悲しい笑顔を見せた。
「僕が何を言うか、君のことだからわかっているよね」
――英司は、冷水を浴びせられた気分になった。
「……君にとっては、出来心なのかもしれないが。もう……清花と会わないでやってくれるかな」
英司は緩んだ表情のまま固まり、何も言う事ができずに、その場に立っているだけだった。
清花の父は、苦々しく唇を噛み、憎しみの籠った眼差しを、昔からかわいがっていた英司に向ける。