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おにいちゃん、おしえて。
第10章 おにいちゃんと、いっしょ。
舌打ちしながら灰皿に煙草を押しつけて、オフィスに戻ろうとしたその時。
黒ストライプのスーツを着た若い女性が、エレベーターから降りてきた。
――え?
英司の足が止まる。
「清花?」
その女性は、栗色のボブを耳に掛けながら、英司に柔らかい優しい笑顔を返した。
――清花だ。
少女から大人の女性と成長を遂げている清花を見て、英司は息を呑んだ。
何年経っても、二人の間には甘酸っぱい空気が流れ、どれだけ会わなくても、顔を見ればすぐに愛しい感情が沸いてくる。
「おにいちゃん!……だよね? わー、全然変わんない!」
「受けたのか? うちの会社」
「うん! 受かったよ!」
話してみると、昔と何も変わらない。
おにいちゃん!と抱きついてきた、清花そのものだ。
「おじさんは……反対しなかったのか?」
「ん。東京に出るのは反対してたけど、そこまで言うなら、いいって。もう、大人だからって……」
まさか、自分の会社に就職してまで会いに来ると思っていなかった英司は、しばし放心して、清花を見つめた。
黒ストライプのスーツを着た若い女性が、エレベーターから降りてきた。
――え?
英司の足が止まる。
「清花?」
その女性は、栗色のボブを耳に掛けながら、英司に柔らかい優しい笑顔を返した。
――清花だ。
少女から大人の女性と成長を遂げている清花を見て、英司は息を呑んだ。
何年経っても、二人の間には甘酸っぱい空気が流れ、どれだけ会わなくても、顔を見ればすぐに愛しい感情が沸いてくる。
「おにいちゃん!……だよね? わー、全然変わんない!」
「受けたのか? うちの会社」
「うん! 受かったよ!」
話してみると、昔と何も変わらない。
おにいちゃん!と抱きついてきた、清花そのものだ。
「おじさんは……反対しなかったのか?」
「ん。東京に出るのは反対してたけど、そこまで言うなら、いいって。もう、大人だからって……」
まさか、自分の会社に就職してまで会いに来ると思っていなかった英司は、しばし放心して、清花を見つめた。