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おにいちゃん、おしえて。
第10章 おにいちゃんと、いっしょ。
きめの整った、吸いつくような美肌は変わっていないし、色は抜けるほど白い。
髪はボブになっているが、清花の可愛らしい顔だちによく似合っている。

「おい、英司! かわいい子だなー! さっそく新入社員に手ーつけてんのかよー!」

冷やかしながら声を掛けてきた同期の森を睨むと、森は手を口に当てて、スマン、と謝った。
訳ありの雰囲気を察知したようだ。
英司は、ガシガシと頭を掻くと、森に尋ねた。

「森……悪いけど歓迎会欠席していい?」
「えっ、みんなお前来るって喜んでるのに! おーい!」

その場に森を残し、英司は清花の手を引いて走り出した。


あの頃から10年経った。
スタミナもなくなっているので、そんなに長くは走っていられない。
セーラー服を着ていた清花は、タイトなスーツに。
白のスニーカーを履いていた足元は、黒のヒールパンプスに変わっていて。

鎖骨までの黒髪は、顎下のラインで整った、ふんわりとした栗色のボブに変わっている。

少女は、大学を卒業して、社会人になっている。


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