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shigure**
第4章 余韻

「さ、じゃあみんな切り替えてー。授業始めますよー。」
先生がパンパンと手を叩くと、後ろの席を向いていた人も前を向いてノートと教科書を開いた。
私も授業に集中しようと、頭の中を切り替える。
ーー「で、ここの主体判定だけど…。敬語表現が二重になってるから〜…」
天多先生の授業はとてもわかりやすい。
説明も簡潔だし、板書も丁寧なので、古典が苦手な私にとってはとてもありがたい。
だが、授業内容以上にやっぱり先生のことが気になってしまった。
幅の広い背中。
黒板に白墨を走らせる綺麗な手…。
気を抜くと授業中ということも忘れて、つい見とれてしまう。
「じゃあ今日は4月9日なので…。4×9で出席番号36番。」
そう言って先生は名簿を開いた。
「えっとー…。保科さんだね。」
「はいっ!?」
ぼーっとしていた私は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
クラス中から笑う声が漏れる。
新学期早々…は、恥ずかしい…。
しかも先生に見とれていたせいで、全然何について当てられたのか分からない…。
「すみません…。もう一度お願いします…。」
「こら。ちゃんと授業に集中しろ。教科書の5行目。読んで。」
「は、はい…。」
私は返事をして急いで該当箇所を見つける。
「人々は帰し給ひて、惟光朝臣とのぞき給へば、ただこの西〜…。」
なんとか読み終えると
「はい、よくできました。」
という、何気ない先生の言葉が降りかかる。
そんな褒め言葉だけで私は舞い上がってしまう。
先生がパンパンと手を叩くと、後ろの席を向いていた人も前を向いてノートと教科書を開いた。
私も授業に集中しようと、頭の中を切り替える。
ーー「で、ここの主体判定だけど…。敬語表現が二重になってるから〜…」
天多先生の授業はとてもわかりやすい。
説明も簡潔だし、板書も丁寧なので、古典が苦手な私にとってはとてもありがたい。
だが、授業内容以上にやっぱり先生のことが気になってしまった。
幅の広い背中。
黒板に白墨を走らせる綺麗な手…。
気を抜くと授業中ということも忘れて、つい見とれてしまう。
「じゃあ今日は4月9日なので…。4×9で出席番号36番。」
そう言って先生は名簿を開いた。
「えっとー…。保科さんだね。」
「はいっ!?」
ぼーっとしていた私は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
クラス中から笑う声が漏れる。
新学期早々…は、恥ずかしい…。
しかも先生に見とれていたせいで、全然何について当てられたのか分からない…。
「すみません…。もう一度お願いします…。」
「こら。ちゃんと授業に集中しろ。教科書の5行目。読んで。」
「は、はい…。」
私は返事をして急いで該当箇所を見つける。
「人々は帰し給ひて、惟光朝臣とのぞき給へば、ただこの西〜…。」
なんとか読み終えると
「はい、よくできました。」
という、何気ない先生の言葉が降りかかる。
そんな褒め言葉だけで私は舞い上がってしまう。

