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甘蜜トラップ
第2章 快楽と堕落
「お前本当自分の身体もっと大事にした方がいいよ、いつか後悔するかもしんないでしょ」
「じゃあ先生が私の身体守ってよ」
「橘、いい加減に」
すっ、と。
遮るように両腕を伸ばして、先生に向けて。
「千歳って呼んで。キスして。先生の感情は要らないからお願い」
「冗談?」
「本気だよ、もう誰ともここでしないって約束するしこの前のお店で見たことも忘れる。勿論キスのことも」
「昔から聞いてたけど、千歳は性格悪いね」
なにその話、誰からーー
柳瀬が階段をおりて、窓の縁にてのひらをつく。近くで見れば見るほど端正な顔立ちだと思い知らされ、いままで知らなかった左目下の泣きぼくろに色気を感じながら静かに目を閉じた。
外の音も拾いながら、柳瀬の呼吸音も捕らえながら……。
ちゅ、と頬に響くリップ音と鼻を掠めたフゼア系のメンズ香水の香りに、不覚にも胸が高鳴った。
おかしいな。
「頬じゃなくて、唇に」
「それは駄、」
駄目、とか。
柳瀬の首の後ろに腕を回して顔を寄せ、強引に口付ける。思いの外柔らかくて、感触がとても心地よくて、驚いた。
あー、なんだろう。
好きかも、先生の唇。
「嫌だったら振り払ってよ、先生」
攻撃的に、横暴に。
角度を変えてキスをしても、先生が私を拒絶することはなかった。ただ、積極的な反応を示してくれることもなかった。