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第3章 感情と強制

柳瀬に取られたのは利き手ではない方の手で、導かれるようにして指の腹を突起に当てられた。恥ずかしい体勢で、見られたまま弄れと？

「ほら、いっつもするみたいに触って」

「っ、や」

「大丈夫」


私の身体に沈み込んだ柳瀬の指の動きに合わせる。どうしたらいいのか分からない。瑞樹のときだって普通にこうしてたのに、なにが違うのか分からない。でも私の中で確実に違和感はあった。


「指離しちゃ駄目だよ」

「っふ、ぁ」

「当ててるだけでいいから。腰振ってやらしい」


突き上げる指がふいに立ち止まるようにピンポイントでその場所を狙ってくる。荒くなる呼吸を整える間もなく、心拍数が上がった。怖い。これ以上、自分で自分に触れるのが怖い。これよりもっと快感が来るのだと思うと。


ーー私、セックス自体はあんまり好きじゃないのかもしれない。ふとそんな風に思って。


「ゃ……ぁあ、あ、っ」


静かに、声を張り上げるでもなく。
身体は自然と反り、脱力した途端に柳瀬はナカを擦り始めた。


「ちょ、っ、ああっ、やめ、待って……！」

「良くなってる」

「ーーっ、ん、」


開いた脚の間に柳瀬は身体を滑り込ませ、胸のふくらみに口付ける。尚も止まらない指の動きと、重なるように熱い身体を舌が這った。彼の恍惚とした表情にも煽られる。


「ぁ、だめ、ぁっ」

「イっていいよ」


優しく掻き回すように弄られるそこからとめどなく溢れるのを自分でも感じた。厭らしい水音にいつもなら耳を傾けるのに、どうしても今日は柳瀬の目から視線が離せなかった。


大人の男の顔。でも微笑む表情は終始穏やかで、まるで泣き喚く子供を宥めるような。子供、か。


「ーーっああ、ぁっ！」


理性が残ってるのに、それでも達してしまう。自分の意思で触れずともナカだけでイった。身体が震える。変だ、知らない感覚で。柳瀬は私の身体から指を抜くと、絡みついた愛液を見て小さく笑う。


「出来るじゃん」

「っ、先生」

「良さそうだったね」

「……うん、ねえ、キスして」


ーー柳瀬だって我慢してるって分かってた。私の身体で興奮してくれてるのが嬉しかった、けど、それ以上触れられることはなかった。柳瀬には最後までする意思なんて最初からなかったんだ。


「風呂、入っておいで」