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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第6章 『仲間』
「…マジ?」

 目を丸くしているのはシーカさん。

 あんた部屋の掃除とかちゃんとやってんの? というなぜ今この話題、と思わずツッコミたくなるタイミングでシーカさんが話を振ってきた。
 それで僕は自宅はファイヤーでロストです、とメンバーに伝えた。「マジ?」はその後のシーカさんのリアクションだ。

 正直なところ僕はいつかは話さなければいけないと思いつつも、どうやってこの件を切り出そうか随分迷って、いつの間にか三日も経ってしまっていた。
 だって僕はゾンビ並みに口下手だし、この四人に囲まれては僕の発言力なんてゾンビから滴るヨダレ程度のものだし。自分から発言するなんてそれこそゾンビが単身でミラ・ジョボビッチの団体さんに立ち向かうようなもんだ。

 と思っていたところでのシーカさんのこの質問。僕は渡りに船、いいタイミングで来たタクシー、とばかりに火事の件を話した。

 さすがヴォーカル、何か持ってる。

 シューっと変な音がしてそちらに目を向ければハルナさんがイチゴポッキー片手に固まっている。
 会話の途中で固まってしまったのか、言葉は出ずに息だけが可愛い唇から細く噴き出している。

 ちょっとハルナさん、何か漏れてる。

「ご家族に怪我は?」

 いたって普通でまっとうなリアクションを返してくれたのはカエさん。この人は性癖以外は普通の常識人だ。

「僕も含めてみんな無事でした」
「そう…よかったわね」

 どんな時でも無駄にセクシーなカエさんは色っぽい溜息を漏らす。

「あ、でも」

 今度はシーカさん。さっきの真ん丸お目目から立ち直っている。

「火事が三日前って…あんた今どうしてるの?」
「はあ、まあ…ここに寝泊まりしてます」
「ここに?」
「…はい」

 ハルナさんは相変わらず半分かじったポッキーを手にしたままフリーズしているし、イズミさんは来客用のソファーに座ったままじっと話を聞いている。『パンツァーカイル』の外交担当はシーカさんとカエさんの二人だ。
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